医師の応招義務についてまとめ
医師には応招義務があり、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。(医師法第19条)」とされています。この義務はいろいろと問題があり、医師の過重労働の問題、例えば専門外の患者さんの診察をどうするかであったり、いわゆるクレーマーに該当するような患者さんの扱いをどうするかといった点であったり、医療者側としては悩ましいものでした(もちろん困っている患者さんを助けることは医師の本分ですし、それが嫌だと言っているのではありません)。
昨年末にそれに関する厚生労働省の通達がありましたので、まとめます。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf
診療しなくても許容されるシチュエーション
・患者に緊急性がなく、診療時間外の場合
この場合は診療時間内を受診してもらう、診療している医療機関を紹介するなどの対応になります。
・診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合
この場合はしょうがないとしか言えません。医療者も人間ですので…
・医療費について支払い能力があるにもかかわらず悪意で支払っていない場合
これもしょうがないです。支払ってください。ちなみに支払い能力がないという場合は、それだけで診療拒否の理由にはならないようです。
・指定感染症等が疑われる場合
この場合は指定医療機関を受診すべきです。
・外国人患者等で、文化や言語の違いにより、結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合
外国人だからと診療拒否は当然できませんししませんが、コミュニケーションが取れない場合はやむを得ないということでしょうね。
診療すべきシチュエーション
・診療時間内、勤務時間内の場合
ただし医師の専門性や医療設備の問題で事実上診療が不可能な場合には診療しないことが正当化されます。
・患者に緊急性がある場合
ただし診療時間外の場合は、「応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の責任に問われることはない」とされています。
個人的には至極まっとうな通知だと思いましたが、皆さんはいかがでしょうか。