新型コロナウイルス感染症の治療開発について

新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症が広がってきています。確定診断がついた症例が20000例を超え、死亡例が400例を超えました。香港でも死者が出たことが取り上げられています。

今日は治療についてまとめたいと思いますが、まずは地域別死亡率です。

https://ncov.dxy.cn/ncovh5/view/pneumonia?scene=2&clicktime=1579582238&enterid=1579582238&from=singlemessage&isappinstalled=0

  感染者 死亡者 死亡率
(%)
全世界 20,686 427 2.1
中国全体 20,527 426 2.1
 武漢 6,384 313 4.9
 湖北省武漢以外) 7,138 101 1.4
 湖北省以外 7,005 12 0.2
中国以外 159 1 0.6

武漢の医療環境の劣悪さが取り上げられるようになっています。

一方で今回のコロナウイルスの治療薬についても報道が出てきていますので、それをまとめたいと思います。

 

抗インフルエンザ薬

以前本ブログでも取り上げたことがあるLancetの論文ではインフルエンザ治療薬であるオセルタミビル(タミフルが多くの症例に処方されていました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31986264

Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China.

HIV

かつて流行したSARSは今回のウイルスと同じコロナウイルスですが、抗HIVロピナビル・リトナビル配合錠(カレトラ)SARSに対して一定の効果がある可能性があるとされていました。

そして現在新型コロナウイルスに対する臨床試験が行われているようです。中国政府はロピナビル・リトナビル配合錠とインターフェロン吸入の併用を推奨しているとの報道がありました。

http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN1ZP0U7.html

 

抗インフルエンザ薬+抗HIV

タイ国内で上記の2剤の併用療法が奏効したとの報告がありました。知る限りで現時点で論文化はされていないようですが、有望な治療なのかもしれません。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55159240S0A200C2FF8000/

 

エボラウイルス

エボラウイルスに対する治療薬として開発されたレムデシビルという薬が有望である可能性が指摘されています。New England Journal of Medicine誌に掲載されたアメリカ1例目の新型コロナウイルス感染症患者は、レムデシビル投与を始めてから症状が改善したようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32004427

First Case of 2019 Novel Coronavirus in the United States.

 

何らかの薬を投与して改善した場合に、薬を投与しなかったとしても自然軽快したのか、または本当に薬に効果があったのかを判断することは難しいです。

ですが、有望そうな治療がどんどん出てきていることは喜ばしいことであり、今後追加の報告がどんどん出てきてほしいと願います。