新型コロナウイルス(2019-nCoV)の死亡率について
新型コロナウイルス(2019-nCoV)の感染者が12,000人を突破しました。
死者数は259人まで増加しています。
日本国内では累計17人まで感染者が増加したようです。そして武漢からの帰国者のうち1名が当初陰性であったが陽性になったとの報道もでています(18人目?)。
新型コロナウイルス感染症が「指定感染症」および「検疫感染症」になるのは2月7日の予定でしたが、本日に前倒しになりました。対応が早くなるという意味で望ましいことだと思います。
さて新型コロナウイルスの死亡率について地域差があるという記事がありましたので、最新の情報から計算してみました。
中国語のサイトですが、感染者と死亡者についておそらく最新の情報であると考えて、こちらをソースとしています。
感染者 | 死亡者 | 死亡率(%) | |
全世界 | 12,015 | 259 | 2.2 |
中国 | 11,890 | 259 | 2.2 |
武漢 | 3,215 | 192 | 6.0 |
湖北省(武漢以外) | 3,938 | 57 | 1.4 |
湖北省以外 | 4,737 | 10 | 0.2 |
中国以外 | 125 | 0 | 0.0 |
これを見ると武漢の死亡率が圧倒的に高く、一方でそれ以外の地域の死亡率はそれほどでもありません。この理由についていくつかの可能性を考えました。
①武漢の患者数が多く、十分な医療が受けられなくなった結果、武漢での死亡率が高くなっている。
(実際には発表されている数(3,215人)以上の患者数がいると考えられ、各研究グループが数万人を超えるという試算を出しています。また10万人が収容できる医療施設を突貫工事で建設しているということですから、現場の実感としてそれくらいの患者数はいるのでしょう。)
②発祥地である武漢で流行したウイルスの毒性が高いが、感染を繰り返すうちに弱毒化した。一般に毒性の強さと感染性は逆相関する(ウイルスを体内に持ち運んで他の人に感染させられるのはある程度元気なヒト(=弱毒性のウイルスに感染したヒト)であり、逆に強毒性のウイルスに感染した場合は重症化して動けなくなるため濃厚接触者以外に感染させることは難しくなります)。そのため他の地域では弱毒性のウイルスが広がっている。
③今回の新型コロナウイルスは感染・発症から重症化までのタイムラグがある(実際、発症から入院までの期間の中央値は7日、集中治療が必要となるまでの中央値が10.5日という報告があります)。そのため武漢以外ではまだ重症化するだけの時間がたっている発症者が少ない。
①、②についてはある意味で楽観的な予想です。日本で武漢ほど大変な状況になる可能性は低いと考えられます。③であれば楽観視するのは危険です。
興味深いデータですが、今後の動向を見ていく必要があります。
繰り返しますが個人レベルでできることは、十分な手洗い、うがい、マスク着用です。またウイルスの付いた手で目、鼻、口などの粘膜に触れることは感染の原因になります。マスク着用は不用意に鼻や口に触れないようにするという意味でも意味があります。しっかりとウイルス対策をしながら、新型コロナウイルスに備えましょう。
本日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。