新型インフルエンザ等対策特別措置法について勉強してみる

今回の新型コロナウイルスについて、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を適用すべきというのが一部で話題に上がっています。私自身はこの法律に詳しくないので、今日は勉強してみます。

 

まずは第一条の目的です。以下、引用部分の太字や下線は私が編集したものです。

第一条 この法律は、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画新型インフルエンザ等の発生時における措置新型インフルエンザ等緊急事態措置その他新型インフルエンザ等に関する事項について特別の措置を定めることにより、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)その他新型インフルエンザ等の発生の予防及びまん延の防止に関する法律と相まって、新型インフルエンザ等に対する対策の強化を図り、もって新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。 

新型インフルエンザ等」の定義については第二条にあります。

一 新型インフルエンザ等 感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症及び同条第九項に規定する新感染症(全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限る。)をいう。 

感染症法の条文は以下です。

第6条
7 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
一 新型インフルエンザ(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)
二 再興型インフルエンザ(かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

9 この法律において「感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

今回の新型コロナウイルスは9項の新感染症に該当すると考えられます。

 

第三条~第五条は国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの責務や、基本的人権の尊重といった総論的な話です。

第六条~第十三条では政府(第六条)、都道府県知事(第七条)、市町村長(第八条)が「新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画」を立てることを義務付け、それに応じて各団体が業務計画を立てることが義務付けられています。

第十四条~第三十一条では新型インフルエンザ等の発生時における措置が規定されています。

この法律の特徴は第三十二条以降の「新型インフルエンザ等緊急事態措置」でしょう。

政府対策本部長(≒内閣総理大臣)が緊急事態宣言をすることで、地方自治体を含めた各団体が感染症対策のために行動することが求められ、違反した場合には罰則規定があるなど一定の強制力があります。

今回の新型コロナウイルスについて現在の内閣は新立法で対応する方針との報道が出ています。この特措法を適用するのか、新法を作るのかどちらがいいのかわかりませんが、 一国民として協力していきたいと思います。