大学の理系論文数、20年間伸びず

今日はこの記事を取り上げます。

大学の理系論文数20年間伸びず 競争原理導入、奏功せず

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190907-00000134-kyodonews-soci

 日本の大学の理系論文数が、政府による研究予算の抑制や競争原理拡大と軌を一にして2000年ごろから伸びが止まり、20年近く頭打ちの状態になっていることが7日、分かった。世界では米国や中国の論文数が飛躍的に伸びており、質の高い論文数を示す国別世界ランキングで日本は00年の4位から16年は11位に低下。研究活性化策として導入した競争原理の拡大が奏功しなかった形で、政策に疑問の声も出ている。(後略)

研究者に安定的な研究費を供給してこなかったことで起きた弊害ですね。かつてはアメリカ、イギリス、ドイツに次ぐ4位だったのが、今や中国、フランス、イタリア、オーストラリアなどに抜かれ11位です。

研究にはマンパワーが必要ですが、安定的な研究費がないと人を雇うことすらできません。競争原理を導入した結果として、国際競争力が落ちてしまったという皮肉な例です。

ではここからすべきことはなにか。

当然安定した研究費を「国」が出すことです。前にもお示しした通り、政府負担研究開発費の対GDP比率において、日本はOECD加盟国の平均値以下です。

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https://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon/a17_3_1.pdfより)

hopeforthebest.hatenablog.com

研究費を出している大きな主体として企業がありますが、当然ながら彼らは儲かること中心に研究費を出します。逆にそうしないと企業は生き残れないので当たり前のことです。

「国」は儲からないことにでもお金を出すことができる、唯一といってもいい主体です。むしろ「国」が出さないといけません。

研究において「選択と集中」をして成功することと、「当たる万馬券」だけを買うことは似たようなものだという言葉があります。事前に当たる万馬券がわからないのと同じように、事前に当たる研究なんてわかるはずがありません。オプジーボだって研究開始当時から見れば成功する保証なんてない研究だったのです。

今からでも遅くないので、ぜひ各大学に広く安定した研究費を出してほしいものです。財源は超低金利の日本国債で賄ってください。