現代貨幣理論について簡単に

現代貨幣理論(MMT)について皆さんご存知でしょうか。

つい先日、MMT提唱者のステファニー・ケルトン教授が来日し、講演会が開かれました。そのことを報道で知った人もいると思います。

今回はそのMMTについてその基本を解説します。

MMTって何?

MMTとはその名の通り現代における貨幣の理論です。「お金」とは何かというものを理論立てて説明しています。

理論の根幹となるものは以下の通りです。

①自国通貨建ての債券を発行しており、かつその通貨が変動相場制をとっている中央政府財政破綻することはない。

②ただしいくらでも債権を発行できるわけではなく、供給能力を超えて債権を発行するとインフレとなるため、インフレ率が債券発行の制約となる。

①については我が国にも当てはまることです。日本国政府国債を発行しており、残高が1000兆円を超えていますが、重要なことはお金を借り過ぎて財政破綻することはあり得ないという点です。ここでの財政破綻とは債務不履行、つまり支払期限が来たのにそのお金を返せなくなってしまうことを指します。

日本は財政破綻しないなんて胡散臭い?

これを言うと「いくらでも借金してもいいなんて馬鹿な話があるわけがない」という反論があるかと思います。胡散臭いと思う人もいるのではないでしょうか。

しかしMMTでもそんなことは言っていません。

②に書いてあるように供給能力が制約になります。例を挙げると、公共事業を行う際に、実際に請け負う事業者が処理しきれる能力を超えて仕事を発注してしまった場合には、価格がどんどん上がってしまいます。人手不足で人件費が上がったり、工事に必要なコンクリート等の値段が品不足で上がったりしてしまうと考えられます。

政府の支出は公共事業だけではなく、社会保障や教育・研究であったり、防衛費だったりするわけですが、これらについても供給能力という制約の範囲内であれば支出をすることができるということになります。

MMTが提唱された背景

昔(といってもほんの50年前までold)と交換できる兌換紙幣でした。1971年に基軸通貨であるドルが不換紙幣となり、それ以降の現代のお金は信用貨幣と言われています。国家が課税をすることで貨幣に価値が生まれるとする話は先日述べたとおりです。

https://hopeforthebest.hatenablog.com/entry/2019/07/09/122301

もともとMMTケインズ経済学から派生しています。ケインズ経済学はオイルショックからのスタグフレーションからの脱却に失敗したことから主流派から外れてしまいました。そのうちの一部はニューケインジアンと言われる、ケインズ経済学を軸とした新たな経済学を確立しましたが、ニューケインジアンでなくこれまでのケインズ経済学の研究を続けた人々がMMTを提唱しています。MMTは異端扱いをよくされますが、ケインズ経済学というかつての主流派から派生したものであり、れっきとした経済学の1つと言っていいと思います。

おわりに

MMTについて解説した書籍がたくさん出てきているので、少しでも興味をもっていただけたら嬉しく思います。

本日は以上です。