クルーズ船内で感染が広がった可能性について

例のクルーズ船の対応について話題になっています。乗船されていた方々について、本当に解放して大丈夫か、アメリカなどのようにさらに2週間隔離しなくて大丈夫かという不安を抱いている方もいると思います。今回一つの安心材料をお見せできればと思います。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9410-covid-dp-01.html

情報源は国立感染症研究所のレポートです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した方(ウイルス検査で陽性かつ症状がある方)の発症日別のグラフです(診断日ではありません)。

COVID DP Fig1

横軸が日付で、縦軸が症例数です。青が乗客、オレンジが乗務員で発症した人数ですね。これを見ると2月7日をピークに少しずつ減っているのがわかります。グラフは省略されていますが、2月16日以降で発症した方はゼロです。

普段マスコミではウイルス検査陽性例の診断日ばかり報じますので、意外に感じるかもしれません。でも冷静に考えれば当たり前で、例えば2月14日から症状があって18日に陽性となった場合、マスコミに報じられるのは18日です。しかもウイルス検査で陽性となった人数(感染者数)を報じますので、実際の発症者よりも多くなります。

 

ここで感染と発症の違いについて説明します。今回の場合、感染というのは人からウイルスが検出されることで、発症とは人からウイルスが検出されかつ症状があることを指します。症状がない感染を不顕性感染といいます。不顕性感染者は不顕性感染のまま終わることもありますし、時間をあけて発症してしまうこともあります。

 

本題に戻りますが、2月16日以降の新規発症者がいないということは、クルーズ船の船内隔離に一定の効果があったということになります。神戸大学の岩田健太郎先生がyoutube動画で指摘したように*1感染対策の不備はあったのでしょうが、結果的には検疫に効果があったと考えるべきだと思います。

 

いかがでしょうか。今回のクルーズ船への隔離は一部の外国メディアから批判を浴びていることも事実ですが、きちんとデータに基づいた判断をしていきたいと思います。

*1:厚生労働省技術参与の高山義浩先生が、Facebookで反論されているので興味があれば検索してみてください